長岡市と山口市、移住するならどっち?
東京でのITワーカー時代を経て、妻の地元である岡山へIターンして8年が経つ。移住は人生の大きな転機であり、単なる憧れやイメージだけで決めるのは危険だ。特に地方都市への移住では、生活費や仕事、そして将来の資産形成まで、データに基づいた冷静な判断が不可欠になる。今回は、長岡市と山口市という二つの地方都市を、私の移住経験と資産形成の視点から比較する。
お金の面で比べると
まず、移住後の生活を左右する家計の柱、お金の面から見ていく。長岡市の家賃1LDKは5万円、山口市は4.8万円と、山口市の方が月々2,000円安い。この2,000円の差は、一見すると小さい金額に思えるかもしれない。しかし、年間では2.4万円の固定費削減につながる。
さらに重要なのは、投資余力だ。長岡市の投資余力は8.2万円/月であるのに対し、山口市は8.7万円/月と、山口市が月5,000円上回る。家賃と投資余力の差を合わせると、山口市は長岡市よりも月々7,000円多く、資産形成に回せる計算になる。年間では8.4万円だ。
私が岡山に移住後、NISAを始めた経験から言えば、この月7,000円、年間8.4万円の差は決して小さくない。特に長期で複利運用することを考えると、数十年後にはその差は数百万円、場合によっては数千万円規模に膨らむ可能性を秘めている。固定費を抑え、投資に回せる金額を最大化することは、地方移住における資産形成の基本戦略だ。この観点から、山口市は長岡市よりも資産形成において有利な環境を提供すると断言する。
仕事・暮らしやすさで比べると
次に、仕事と暮らしやすさの側面から両市を比較する。長岡市の求人倍率は1.55倍、山口市は1.58倍だ。この数値だけを見ると、山口市の方がわずかに求人が見つけやすいように見えるが、0.03ポイントの差は、実際の転職活動において決定的な違いをもたらさない。どちらの都市も、地方都市としては比較的安定した求人状況にあると言える。ITワーカーとしての経験から言えば、求人倍率だけでなく、具体的な職種や給与水準、キャリアパスが自身のスキルや希望と合致するかどうかを、個別に深く掘り下げて確認する必要がある。
暮らしやすさについては、データには現れない地域特性が大きく影響する。長岡市は、日本海側に位置し、冬場の降雪量が多い地域だ。雪国での生活は、除雪作業や冬用タイヤの準備など、それなりの準備と心構えを必要とする。一方で、雪がもたらす美しい景色やウィンタースポーツといった魅力も存在する。
対して山口市は、比較的温暖な気候で、瀬戸内海と中国山地に囲まれた自然豊かな環境が特徴だ。子育て世代にとっては、積雪の心配が少ないことや、アウトドア活動がしやすい環境は魅力的に映るだろう。交通の便では、どちらの都市も新幹線駅があり、主要都市へのアクセスは確保されている。しかし、都市圏としての規模や文化的な側面、医療機関の充実度など、ライフステージによって重視する点は異なるため、自身の優先順位を明確にする必要がある。
田村の結論
堅実に資産形成を進めたい、温暖な気候と豊かな自然の中で生活したい移住者には山口市が向いている。一方、雪国ならではの生活文化に魅力を感じ、地域の産業やコミュニティに深く根差した暮らしを求めるなら、長岡市が選択肢となる。