甲府市と松山市、移住するならどっち?
東京でのITワーカー時代を経て、妻の地元である岡山へIターンし、3人の子育てに奮闘する私にとって、移住と資産形成は切っても切り離せないテーマだ。NISAを始めたのも移住後であり、都市選びが家計に与える影響を肌で感じている。今回は、甲府市と松山市という二つの地方都市を、具体的なデータと私の経験に基づき冷静に比較する。
お金の面で比べると
まず家計の基盤となるお金の面から見ていく。甲府市と松山市のデータは驚くほど一致している。両都市ともに投資余力は月8.2万円、1LDKの家賃は5万円である。これは、純粋にデータ上の数値だけで判断する限り、どちらの都市を選んでも家計への直接的な影響は変わらないことを意味する。私の経験から言えば、東京で働いていた頃と比較すると、この家賃水準は非常に魅力的だ。地方都市での生活費は、家賃だけでなく食費や交通費といった日常的な出費も抑えられる傾向にある。しかし、このデータはあくまで平均値であり、個人のライフスタイルや家族構成、消費行動によって実際の投資余力は大きく変動する。例えば、3人の子どもを持つ私のような家庭では、家賃以外の教育費や食費が家計に与える影響は大きい。同じ家賃であっても、住むエリアの物価や利用できる子育て支援制度の有無が、結果として家計に差を生む可能性は十分に存在する。データが同じだからといって、思考を止めるべきではない。
仕事・暮らしやすさで比べると
次に、仕事と暮らしやすさの観点から両都市を比較する。求人倍率は、甲府市が1.48倍に対し、松山市は1.52倍だ。この数値だけを見ると、松山市の方がわずかに仕事を見つけやすい環境にある。0.04ポイントの差は小さいが、転職市場においては、わずかな求人の多さが選択肢の幅を広げる要因になる。東京のIT業界で働いていた私から見れば、地方での求人倍率は都市圏とは異なる特性を持つ。単に倍率が高いか低いかだけでなく、どのような業種や職種の求人が多いのか、自分のスキルや経験が活かせる場があるのかが重要だ。松山市は四国の中心都市であり、サービス業や医療・介護系の求人が比較的多い傾向にある。一方、甲府市は内陸に位置し、製造業や観光業が主要産業だ。IT系の職種を探す場合、両都市ともに選択肢は限られるが、リモートワークが普及した現在では、都市に縛られない働き方も視野に入れるべきである。
暮らしやすさについては、データには表れない要素が大きい。甲府市は富士山を望む自然豊かな環境が魅力であり、四季の移ろいを身近に感じられる。一方で、松山市は瀬戸内海に面し、温暖な気候と道後温泉に代表される観光資源を持つ。子育て世代の視点で見ると、どちらの都市も地方ならではのゆったりとした時間の流れや、都市部と比較して治安の良さを享受できる。医療機関や教育機関の充実度、公共交通機関の利便性、そして地域のコミュニティの活発さも、移住後の生活の質を大きく左右する要素だ。岡山への移住で、私は地域との繋がりや子育て支援の重要性を実感している。松山市は四国最大の都市であり、その分、行政サービスや商業施設の選択肢は甲府市よりも多い。
田村の結論
結論として、投資余力や家賃に差がない両都市では、仕事の選択肢と暮らしの質が移住の決め手となる。自然豊かな環境で落ち着いた生活を望むなら甲府市が、ある程度の都市機能と海の恵みを享受したいなら松山市が適している。